ついに知り合いの飲食店が閉店した。行きつけの飲食店だったのでとても残念だった。あの美味しいチャーシューが食べれなくなると思うと本当に寂しい。それでもアフターコロナ後の景気回復を信じ、頑張ってる飲食店は数多くある。
私も飲食店を10年以上経過していたので他人事じゃない。もし自分だったらと考えると背筋がぞっ!としてしまう。そこで今回私なりに、飲食店が今を生き伸びるための対策を考えてみた。
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最近では未来チケットなどお店がオープンしたときに利用してもらうチケットを販売して、たくさんに応援してもらおうと言う良い試みもある。だがこのまま自主規制が何ヶ月も続いたりすると、そのチケットを使うお店もなくなってしまうかもしれない。飲食店コンサルタントなどが未来チケット販売すると良いとアドバイスしていると聞くが、3ヶ月後にその店が本当に存在するのか心配で購入できないと言う声も聞く。だがファンの多いお店はいい手だと思う。東海地方の喫茶店では「コーヒーチケット」というコーヒーの前売り券が当たり前だ。
今すぐできることとしてまず思いつくのが店頭でのお弁当の販売だ。これは立地によってはうまくいくと思うが、私の住む地方では車で移動するのでわざわざ車でお弁当買いに行く事は無い。配達員を自前で用意せず「Uber Eats」などが利用できる地区なら良いのだが、実際に近所の食事処が店頭でお弁当を売っているのを見かけてもほとんど売れてないのが現状だ。
仮に「Uber Eats」を利用できる地域でも「Uber Eats」の手数料は35%だ。吉野家の牛丼なら、380円➺570円の50%の割増率。ほっともっとの「のり弁」300円 ➺550円と83%の割増率になる。この状況を乗り切るには利用したいお店も多いだろう。
既存のメニューの宅配も視野に入る。だが宅配は思いのほか経費がかかる。配達をするまで人を待機しなくてはならないし、運搬用の車両代、受注システムのレンタル費用、宣伝広告費など意外と費用がかかってしまう。ピザ屋さんがなぜピザ1枚が2000円するのか?コストがかかるからだ。安易に宅配に飛びつくのは考えものだ。「Uber Eats」が35%の手数料は意外と安いのかもしれない。
このようなお弁当の販売、宅配をする場合に注意するポイントはこれだ。1つは完全予約制にすること。そうすることで原材料のロスも防げるし、人件費も削減できる。私が見かけた食事処のように、店頭にお弁当が5つぐらい並んでいて、その前で店員さんが暇そうにしているのを見るのは辛すぎる。完全予約制にしてお店に取りに来てもらうか、まとまった数は配達も引き受けるなどの工夫が必要だと思う。
注意して欲しいのがテイクアウト、デリバリーには許可が必要になるものがあることだ。店内の厨房で調理した料理はテイクアウトやデリバリーをしても飲食店営業許可の範囲内だからオッケーだが、製造加工した加工食品を仕入れて販売すると別途手続きが必要になったりする。また移動販売車や屋台などで販売すると別の営業許可が必要になってくる。
許可がいらない場合:飲食店営業許可を取得している飲食店は特に許可は必要ない。喫茶店がサンドイッチのお持ち帰りをするとき、焼き鳥屋さんが焼き鳥をお持ち帰りするなど飲食店の営業許可だけでオッケーだ。
許可がいる場合:店内で召し上がっていただくパン、ケーキ、アイスクリームなどは飲食店営業許可のみで大丈夫だが、これらをテイクアウト販売するときには別の資格が必要になる。菓子製造業やアイスクリーム類製造業の許可が必要になるので注意が必要だ。
お酒のセット販売は注意!:またお酒も注意が必要だ。例えばちょい飲みセットなど、焼き鳥5本とビールのセットはNGだ。店内で提供するお酒はオーケーだが、お酒をテイクアウトすると酒税法で制限される、酒類販売業免許が必要になってくるので営業許可に関しては専門家にから商品を販売してほしい。
どうやって集客するかだ。もしお弁当の宅配をやるのなら広くチラシを配るのも良いだろうがやはり効率を考えると大量注文をしたいところだ。そこで注文数が取れる会社等を積極的に廻って契約を取るのもありだと思う。
昔からよくある会社に宅配弁当屋がある。前日の弁当の数を聞いて翌日のお昼までにお弁当を届けるサービスだ。今風に言えば「サブスクリプションサービス」だ。だがあの昼食の宅配弁当業界の体質は古い。お弁当も安ければいいと言うものが多くサービスも程々、食を楽しむと言う文化とは程遠い。おいしいお弁当を提供できる飲食店は、あの領域を攻めに行くのは全然アリだと思う。1週間に1度だけ既存のお弁当チェンジしてもらうだけでもいいと思う。
もし私がやるとしたら、魅力的な美味しそうなお弁当を1つだけ作って、そのお弁当の試食チラシを作る。チラシには、なぜこのお弁当を作ったのか。創作ストーリーをしっかりと描いて、オーナーがどんな思いでどんな食材を使ってこのお弁当を作っているのか?をチラシにまとめてお店のホームページと注文フォームと連動しておく。この際、コロナで困っているから始めました。という切り口もアリだと思う。
このチラシをフロントエンドとしてばら撒き、サブスクリプションに誘導する。お店が再開できたときには、そこには新しい顧客リストが生まれている。きっと大口の注文や宴会の注文等が入る時が来るかもしれない。
ここのところ移動販売車両の制作会社の売り上げがとても好調だと聞く。飲食店経営以外の他業種からの参入が相次ぐそうだ。飲食店経営者なら、移動販売に移行しようと思う人も多いだろう。私は移動販売も行った経験があるので安易な移動販売はお勧めをしない。
特に車両を購入しての移動販売は初期費用がかかりすぎる。車両に200〜300万円を投資して移動販売車両を作っても利益を出すまでに至らない人の方が多いはずだ。(冒頭の写真は自作の移動販売車だ)理由は、移動販売ならではの出店場所の確保の難しさにある。人気の出店場所は既に契約が決まっている場合が多い。また、スーパーの店先等の出店もスーパーで出店している商品と被ると出店ができない。私が1番困ったのがこれだった。当時、クロワッサンの移動販売をしていたのだがスーパーのテナント出店にパン屋さんがあると出店を断られることが多かった。なのでスーパーの店先出店の場合には販売する商品アイテムを先に考えておいた方が良いと思う。
そこでオススメなのが、移動販売ではなくテント販売だ。いわゆる催事販売と言うやつだ。テント販売ならワンボックスが1台に販売台と商品を詰め込んで売りに行くことができる。テント1張りで営業開始できるので車両制作をしないので失敗が少ない。許可に関しては地元の保健所に確認をしてほしい。
今、こうして考える時間のある時に、経営者として自分のビジネスモデルを、じっくりと考え直す良いチャンスではないかと思う。いつもは飲食店のオーナーは日常の仕事で精一杯だ。せめてこの時期を有効に活用してもらいたい。テレワーク、テレワークと騒いでいるが、どこまでいってもビジネスは本質は人と人とのつながりだ。お客さんにお店に来てもらって、「おいしいと言ってもらい笑顔を見れること」が飲食店オーナーの幸せの源泉だ。是非頑張って欲しい。